事業計画書の書き方

事業計画書の書き方

前述したように事業計画書は起業するにあたって必要不可欠なものです。融資を得たり、周りの協力を得たりするのに必要ですし、ビジネスの未来を導く羅針盤ともなるものなのです。このページではなぜ事業計画書が必要なのか、事業計画書を書く上で大事なことは何かなど、事業計画書の書き方の基本をまとめています。

事業計画書が必要な理由

事業計画書を作成するのには、大きく分けて4つの目的があります。一つは、事業内容とその魅力を明らかにして資金の確保や人材、協力者など経営資源を獲得しやすくするためです。これは前のページでも述べていますが、起業する際には様々なま場面で協力者が必要となります。銀行の融資もそうですし、共同経営者などもそうです。そういった経営資源を獲得するためには、自分が持っているビジネスアイデアがどれくらい将来性があって魅力的かをプレゼンしなければなりません。そんな時に必要なのが事業計画書なのです。また、事業内容を明確化することで創業メンバー間での基盤作りが出来るというのも事業計画書作成の目的の一つです。一つのアイデアを中心に人が集まって会社となるわけですが、そのアイデアをどう調理していくかを明確にしておかないと後でトラブルになる可能性もあります。最初から一致団結するためにも事業計画書は必要なのです。3つめは、起業家自身が問題点や障害を認識し、その対策を取ることで事業成功の可能性を高めるという点です。事業内容を書いていくうちに自分では気が付かなかった矛盾点や問題点に目が行くことがあります。起業する前にそういった問題点への対策を決めておけば、あとで問題が起こっても冷静に対処できます。4つ目は事業の状況や進捗状況を管理するためのベースとして作成するという点です。ベースがなければ、今自分が行っていることが正しいのかどうか、当初の予定通りに事業が進んでいるのかどうかが分からなくなってしまいます。ベースがあれば、事業環境の変化があったときなどにも、調整や変更を検討するたたき台としても使えます。このような理由から、事業計画書は起業の際に必要不可欠であるということが分かるのではないでしょうか。

書くことそのものが大切

事業計画書には上記のような目的があるほか、書くこと自体にも大きな価値があります。頭の中で考えているアイデアは、非の打ち所がなく完璧でとてもいいものに思えるものです。しかし、実際に文字に起こし、また文字にする際に色々と調べたり考えたりしていみると、あんなに完璧に思えたアイデアでも穴だらけでとても完璧とは言えないものだったということに気が付けるのです。最初からパーフェクトな計画を立てられる人間はめったにいません。事業計画書を作り、修正し、アイデアを練り直すという作業を繰り返すことで、事業プランはより現実的で強固なものへとブラッシュアップしていけるのです。また、事業計画書は書いている間にどうしても先に進めないというスランプのような状態に陥ることもあります。大抵は事業計画に対する知識や情報が不足している場合が多いのですが、一方でその事業のアイデア自体が事業化するのに適していないという側面を持っている可能性もあります。また、本当にその事業がやりたいのかという根本的な問題が潜んでいる可能性もあります。事業計画書を作成することは、実は起業すること自体を考え直すチャンスにもなるのです。


事業計画書の書き方

「6つのS」と「6W2H」

起業後の理想は、職種に限らず仕事を継続させ、発展させることにあると思います。それを実現するには、起業前にしっかり準備することが大切です。起業後の理想像は6つのSで表すことが出来ます。「信念」「仕組」「資金」という「基本のS」に加え、「商品(サービス)」「市場」「支援」を加えたのが「6つのS」です。これら6つのSを獲得する事が起業後の理想の姿です。この6つのSを自身の事業のアイデアに当てはめ、どのように準備し動かしていくかを綿密に計画したものこそ事業計画書なのです。これはなぜこの事業をやるのかの「Why?」、商品・サービスの内容を表す「What?」、市場や顧客はそのように想定しているかを表す「Where?Whom?」、どのようなノウハウを使うのかの「How to?」、どのタイミングで行うかの「When?」、誰がやるのかの「Who?」、資金や売上高、利益の目標を表す「How much?」の「6W2H」に置き換えて考えることが大切です。多くの場合は「What?」、つまりどんな商品・サービスの事業を行うかを最初に考え、次に顧客や市場「Where?Whom?」を考えると思います。反対に先に狙う市場や顧客を決め、そこに提供する商品・サービスを考えるという方法もあります。マーケティング的には後者が有利となりますが、「What?」の項目と「Where?Whom?」の2つを行き来しながら考えを深めて行けば、どちらから始めても大丈夫です。一番大切なのは「Why?」の項目です。なぜその事業をやりたいのか、という部分は事業の柱となる部分です。この項目が曖昧なままだと、事業も成功しません。次に重要なのは「How to?」です。この項目は商品やサービスを、目指す市場・顧客にどのように提供するかを示しています。この提供の仕方で独自性や販売力などを示し、その事業に対する魅力をアピールする必要があります。最後に事業を実際に稼働させるために必要となるのが「When?」「Who?」「How much?」の項目です。事業を行う上で必要になる資金はいくらか、その資金の準備方法、必要なスタッフの人数、そのスタッフの集め方など、この項目では現実的で具体的な案を出すことが求められています。

事業計画書から外せない8つの項目

事業計画書には必ず明記しなけらばならない8つの項目があります。一つは「事業プラン名」です。簡潔かつ魅力的で、それだけで何を計画しているのかが伝わるものがベストです。難しければ副題をつけてもいいでしょう。次に「事業内容」です。上記の「6W2H」を参考に、どんなサービス・商品をどんなターゲットにどうやって提供するかを可能な限り端的に説明しましょう。3つ目は「市場環境」です。参入しようとしている市場の規模や成長性、競合相手のデータなどを集めて活用し、分析しましょう。表やグラフがあると分かりやすいです。4つ目は「競合優位性」です。同業者だけでなく、同じターゲットに対する異業種の競合も視野に入れ、自分の持つアイデアの優位性や差別化を図った点などについてを主張します。5つ目は「市場アクセス」です。計画している事業をどのようにターゲットにアピールしていくか、どうやって販売網を気付くかなど、事業実現のプロセスを具体的に書きましょう。6つ目は「経営プラン」です。仕入・開発・生産の計画や人員確保の方法、事業を継続的に運営するための計画を書きます。7つ目は「リスクと解決策」です。事業には様々なリスクや問題がつきものです。想定されるリスクとそれに対する対処法・解決法を考えておきましょう。最後は「資金計画」です。具体的な収支予測や資金の調達案、返済計画などを明確に提示しておきましょう。これらの項目は、業種や規模の大小に関わらず、必ず設定しておくべきものです。各項目はそれに即した表現方法で結論を書き込みましょう。つまり事業計画書を作成するには、事業に関する専門的知識の他に、経営やマーケティング、会計などの知識が必要になるのです。そういった知識は、専門書を読んだりセミナーに通ったりすれば手に入れる事が出来ます。ですから起業の前には沢山の知識を得る必要があるのです。


読み手のことを考えた計画書

上記のことを踏まえて事業計画書を作成していくわけですが、書類にさえすれば何でもいいというわけではありません。大事なのは計画書を読む相手のことを考えて、分かりやすく書くことなのです。ついつい自分の思いが先走って、延々と事業に対する熱を書き綴ってしまいがちなのですが、それは事業計画書とは言えません。また反対に、抽象化・概念化しすぎて、読んでもわけが分からないものや、手に持つのも大変なほど膨大な量を書いたものなどは、読む前から相手に苦手意識を刷り込んでしまいます。読み手が計画書を見て「わからない」という顔をしていた場合、それは読み手が悪いのではなく、そのように作ってしまった自分の責任ということになります。事業計画書は人からの協力を得るために書くものです。その人が何を知りたいのかをよく考え、そこを起点にして作成するくらいの配慮があっても過剰ではないでしょう。